333discs

AUG 2012

Q and A
ひとことインタビュー

■こんな音楽フェスがあったら行きたい!出たい!

【goro】基本は外で演奏が苦手なので屋内のフェスだったら、植物園とか温室とか。

 

【tico moon影山敏彦】ずばり「カレー&ミュージックフェスティバル」。全国の名カレー店の出店は勿論、カフェの名店が作るピカイチカレーや、全国カレーパン食べ比べコーナー、誰でも簡単に作れる美味しいカレーワークショップ等、イベント満載のカレーと音楽のお祭り。勿論開催は夏の真っ盛りに。

 

【tico moon吉野友加】私も「カレー&ミュージックフェスティバル」に一票!!

 

【甲斐みのり】秋に発売予定で、“たてもの”の本をつくっているほど、建造物が好きなのですが、たとえば1階から5階まである古いビル一棟で音楽フェスがあったら楽しそう。各階をのぼりおりするのですが、他の階の音と音がぶつかりあってしまいそうで、実現するのは難しいかもしれませんね。もしくは、駅フェス。駅ごとに違ったライブがあって、電車に乗って、駅を行き来するような。

 

【葉田いづみ】北海道のカフェフェスは写真を見ているだけでも本当に気持ち良さそうでした。もう少し関東に近い所で、また森の中でやってほしいなぁと思います。

 

【阿部桂太郎】子どものためのコンサート。子どもにこそ、本物の音、いい音を聴かせてあげたい。実は先日、パリで開催された子どものためのクラシック コンサートにお邪魔したのですが、これがなかなか素晴らしかった。コンサートの前半は、個々の楽器の説明や、その音を実際に聴かせてもらい(ちょっとだけ、楽器にも触らせてもらい…)、そして後半は、それらの楽器を使った演奏を聴くものでした。また、ステージの前には広いスペースが設けられ(シートが敷かれ)、子どもたちはお父さんやお母さんと一緒にその上に腰を下したり、寝転がったりしながら聴くことができます。さらに、コンサートの主役は子ども達ですから、途中で泣いても、騒いでも大丈夫。

 

【三品輝起】リゾートホテルで3日間くらい、あらゆる客室で散発的にライブがあるフェス。参加ミュージシャンは泊まってる部屋で、すきな時間にそれぞれ小音でライブを行う。客もそのホテルに宿泊してて、目当てのミュージシャンの時間がくれば訪ねていってライブを見たり、自室で寝ててもいいし、外で遊んでもいい。あるわけないけど。

 

【青芝和行】温泉地を貸し切ってライブ&入浴三昧、みたいなフェスがあったらいいな。ものすごーくユルいイベントになりそうですが。

 

【伊藤葉子】熱中症&虫さされの心配の無い、涼しい時期の野外イベント。Mt. FUJI JAZZ FESTIVALのボサノヴァ&クラシック版とか良さそう!もちろんおいしい食事、美味しい飲み物、そして温泉とスパ!カフェフェスも継続できるよう皆で考え中ですよ♪おたのしみに♪

 

■今まで飼った動植物・昆虫で思い出深いものは?

【goro】小1の頃、近所の子が拾って来た子犬をみんなでミルクあげたり、自分のご飯を残して食べさせたりしてこっそり隣の空き地で飼っていたのですが、親に見つかって遠くの空き地に捨てにいく、悲しい悲しい思い出、、、くうくう泣く子犬を僕は何度も泣きながら振り向いて、、、(泣)

 

【tico moon吉野友加】小学生の頃シマリスを飼っていました。ヒマワリの種をあげると、頬っぺを膨らませて食べる姿が可愛らしくて大好きだったのですが、夏休みに山梨の祖父母の家に連れて行った時、ゲージから飛び出して、山へ向かって走って行ってしまいました。その後も戻ってくる気配はなく、自然の中で元気に暮らしたのかなー、と今でも時々思い出します。

 

【甲斐みのり】お祭りで買ったヒヨコが、ニワトリになるまで育ちました。今はBID(ビド)という名の猫がいます。The Monochrome setのリーダーからいただいた名前です。

 

【葉田いづみ】小学生の頃、学研『かがく』の付録についていたカブトエビの卵をふ化させ、育て始めました。
ある日、水槽の掃除のため紙コップにカブトエビの赤ちゃんを入れておいたら、母がただの水と勘違いして台所に流してしまいました…。悲しかったです。

 

【阿部桂太郎】小学校の低学年の頃、故郷の川や池で採ったサワガニやイモリ。毎日、学校が終わってから友達と一緒に川や池へ行き、パンツ一丁になって夢中で採りました。そして、自宅の玄関に飼育箱を置き、採ってきたサワガニなどを入れておいたものです。しかし不思議と夜の間にどこかへ逃げてしまい、翌朝には空っぽに…なんてことがよくありました(懐)。

 

【三品輝起】中高のとき飼ってた熱帯魚たち。

 

【青芝和行】犬と猫の思い出は別にして、小さい頃に飼っていたインコが近所の猫に襲われたのがショックでした。そのせいか、子供の頃は猫よりも圧倒的に犬派でした。今は僅差で猫派かも。

 

【岩崎一絵】一番かわいかったのは実家で10年飼ったうさぎですが、今は娘が幼稚園から連れ帰ったドジョウのじょうたろうがいます。飼い始めると意外に愛着がわいて、長生きするといいなと思って世話しています。

 

【伊藤葉子】小学生のころはゴムの木と柊。ゴムの木に傷をつけて、いつになったらゴムボールができるかな~!と眺めていたのを思い出しました。柊は今も実家の玄関にありますが、鬼が家に入らなくなるということで母親が植えていまして、よく酔っぱらった父が柊にささって「痛い!」と言っていておかしかったのを覚えています。大きくなってからは二匹の猫(モモちゃん、メーちゃん。どちらも貰い猫でした。)です。楽しく一緒に過ごさせてもらいました。感謝!




Q and A
●8〜10月おすすめのイベント

【goro】8月11日に根津教会でソロライブがあります。チェロは徳澤青弦。

 

【tico moon影山敏彦】今年の夏も暑くなりそうなので8月は家でオリンピック観戦が多くなりそうですが、特撮博物館(東京都現代美術館)、鋤田正義展(東京都写真美術館)等、楽しみな展覧会も目白押しです。

 

【tico moon吉野友加】夏の間は、ライブを聴きに行ったり、美術館へ展示を観に行ったりと色々と楽しむ予定です。

 

【甲斐みのり】8月4日・5日 有楽町ルミネ「otona縁日」おやつマルシェに参加、 8月25日 ”東京のかわいいお菓子”を楽しむお茶会を開催します。 http://www.loule.net/coto_spring/new_event.html

 

【葉田いづみ】国立でおいしいたいやきを屋台販売する「たいやきや ゆい」さんが、夏はかき氷屋を開きます。お得意のあずきを始め、果物を使った手作りのシロップはどれも魅力的でどれにしようかいつも悩みます。(なんと練乳も自家製!)不定期でいろんな場所に出張されるようなので、ブログをチェックしてみてください。

 

【阿部桂太郎】パリの秋、食欲の秋です。美味しいものを、飲んで食べて♪

 

【三品輝起】・FALLで8月24日に工藤冬里さんの陶芸展にあわせて、工藤さんと宇波拓さん出演の音楽会があります。
・10月3日から14日まで、TERATOTERA主催「西荻映像祭」というイベントが西荻窪であり、FALLも参加会場となる予定です。
・FALLで10月20日に写真家・芦田陽介さんの展示にあわせて、荒木真さん+Ryoさん、津田貴司さん出演の音楽会があります。

 

【青芝和行】10月に再来日するZombies 、膝を正して拝聴してこようと思います。

 

【伊藤葉子】8月29日(水)にNY在住の塚本浩哉さんというソングライター/ギタリストのアルバム「Haertland」をリリースいたしますよ!9月には来日公演も予定しています。tico moonとの対バンも企画中。ぜひお越し下さいね。
また、10月にはペンギンカフェが来日!伊藤ゴローもライブで共演いたします。ゴローは原田知世さんとのon-doc.で関西にも伺います。naomi & goroも活動開始!?ぜひお楽しみに♪




憩いのひととき
●ニューヨークの街角から

「橋の見えるニューヨーク」

ギタリスト、ソングライターの塚本浩哉です。

「ニューヨークの街角」からということでこのコーナーに書かせてもらうことになりました。今回初めてということで、少し自己紹介をさせて下さい。

 

タイトルの通り、ニューヨークに住んでおり、今年でアメリカ生活12年目になります。渡米後ジャズ、南米音楽など様々な音楽をやってきましたが、ここ数年はアコースティックギターを主に用いながらシンプルな編成での新しいアコースティック音楽を開拓しているところです。またこの夏の終わりに、333DISCSより、アルバム「Heartland」がリリースされることになりました。9月にはそのリリースツアーで日本をまわります。

 

さて、ニューヨークと言えば、皆さんどんな情景を思い浮かべられるでしょうか。多くの人が頭に描かれたのは、おそらくビルの群れ、摩天楼ではないでしょうか。そしてそのビルの群れが凝縮して屹立しているのがマンハッタン島で、このマンハッタンが所謂NYC(ニューヨーク市)ということになります。この島の凝縮濃度はまず他に例を見ないと思います。周りが水で囲まれているため、その限られた面積の中にありとあらゆるものが詰め込まれている印象です。この地理条件がニューヨークを比例のない面白い町に導いた要因の一つと言えるのではないでしょうか。

 

そして今回紹介します写真は、マンハッタンから水を隔てて他の地区を繋ぐ橋の写真です。マンハッタンの西側はハドソンリバー、その対岸がニュージャージー州、それを繋ぐのがジョージワシントン橋。一方マンハッタンの東側はイーストリバーで、対岸はクイーンズ。そこにかかるのはブルックリン橋、クイーンズボロ橋などです。これらの橋は、相当古い上に交通量が半端でないため、建設物的な視点ではかなり心細いのですが、橋を遠くから眺める分には美しく、魅力的です。私はクイーンズに住んでいるのですが、橋と水の見える景色が好きで、時折岸辺まで来ることがあります。

 

ニューヨークの中心はマンハッタンですが、この中にいると基本的にビルに囲まれているため、なかなか全体像を掴むのことは難しいです。しかし水の近くまで来てみると、なるほどこういう風になっているのかと新たな発見があります。もし皆さんもニューヨークに来られ、買い物、美術館などを一通り満喫されたら、橋を渡って対岸からマンハッタンを眺めてみるのもきっといい気分転換になるのではないでしょうか。

 


塚本浩哉
京都生まれ、現在ニューヨーク在住のギタリスト/ソングライター
http://hiroyatsukamoto.com/




憩いのひととき
●パリの街角から

「私たちの貴婦人」

 

 

【パリのノートルダム寺院】

突然ですが、皆さまはノートル ダム寺院をご存じでしょうか。
ノートル ダム寺院と言えば、フランスのパリにあるノートル ダム寺院(Cathedrale Notre Dame de Paris)が有名です。
ちなみに、ノートル ダム(Notre Dame)とは、フランス語で私たちの(Notre)貴婦人(Dame)という意味であり、聖母マリアのことを指します。そしてまた、ノートル ダムと名付けられた寺院は、聖母マリアに 捧げられた寺院であることを示します。
また、ノートル ダムと名付けられた寺院が、ここパリだけでなく、フランス各地や世界中にもあることをご存じでしょうか。フランス国内では、リヨン(Lyon)やマルセイユ(Marseille)、シャルトル(Chartres)など、いくつもの街に建立されています。そしてそのどれもが、街のシンボルとでも言うべき立派な建物です。
ちなみに、私くしもいままでにいくつかのノートル ダム寺院を訪ねましたが、いずれも本当に素晴らしく、印象に残るものでした。その中でも、特に思い出深いのは以下の3つです。

 

1つめは、フランスの北部、ランス(Reims)の町にあるノートル ダム寺院。その正面外観は素晴らしく、眺めていたら、「人間とは本当に不思議な生き物だ。こんなに素晴らしいものを造り上げてしまうかと思えば、その一方で、互いにいがみ合ったり、奪いあったり、殺しあったりもする…」なんて思えて来ました。さらに、聖堂の内部、一番奥にあるシャガール作のステンド グラスは、本当に美しいブルー。このブルーを見るためだけにここを訪れる価値があると思ったほどです。

 

2つめは、フランスの東部、ストラスブール(Strasbourg)の街にあるノートル ダム寺院。その尖塔は高さ142メートル。天を突き刺すようにそびえ立つその姿は、見る者を圧倒します。そしてまた、その素晴らしさのあまり、何度も何度も見上げてしまいます。

 

そして3つめは、やはりパリのノートル ダム寺院。この街に住んで8年、いつもその近くに住んでいたこともあり、とても身近な存在です。世界的な観光名所ですのでいつも賑わっているのですが(訪れる人の数は、年間約1,000万人)、夕方の、少し人通りが少なくなった頃などは、荘厳でとてもいい感じです。

 

 

【セーヌ河の岸辺に立つノートルダム寺院(左)】

なお、ノートル ダム寺院の多くが、着工から竣工までに長い年月をかけて造られたもの。
ランスのノートル ダム寺院:1211年~1475年(264年間)ストラスブールのノートル ダム寺院:1176年~1439年(263年間)パリのノートル ダム寺院:1163年~1345年(182年間)
いまのような建設機械がなかった時代ですから、その建設にはいくつもの困難があったことと思います。しかしそれを乗り越え、100年、200年という時間をかけて造られたのかと思うと、それに携わった人々の情熱や、それを維持させた目には見えない力のようなものを感じずにはいられません。
今回は、ノートル ダム寺院について少しだけお話いたしました。

 

 

参考)Wikipedia

ランスのノートル ダム寺院
ストラスブールのノートル ダム寺院
パリのノートル ダム寺院

 

阿部桂太郎

1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。


 




憩いのひととき
●国立の街角から

「やぼろじ」

 

目の前が甲州街道だということをつい忘れてしまうぐらい、ゆったりした時間が流れている。幼い頃、夏休みに遊びに行った田舎のおばあちゃんちを思い出すような、そんな懐かしさを感じる場所「やぼろじ」。建築家の和久さん(WAKUWORKS)が、谷保の古い日本家屋を改装して何か始めるらしい、という話を聞いたのは2年ほど前だったろうか。ほとんど活用されていなかった320坪の土地と建物が改修され昨年春、カフェ・工房・オフィスなどが共存する地域コミュニティとして蘇った。以来、地域の人々に開かれた場所としてにぎわいを見せている。ときにはライブ、野菜のマーケット、ガーデンパーティーといったイベントが開催されることも。

 

今年4月にオープンした「やま森カフェ」では、旬の食材を使った家庭的なごはん“母めし”をいただくことができる。日替わりの定食には少しずついろんな種類の野菜が使われ、見た目も楽しくお腹いっぱいになって大満足。(写真はある暑い日の定食。じゃがいもと豚のコロッケが絶品!)JR南武線谷保駅から徒歩5分ぐらい。9月2日(日)には5回目となるガーデンパーティーが行われるそう。誰でも気軽に遊びに行けるイベントなので、ぜひこの機会に訪れてみてほしい。http://www.yabology.com/

 

 

 

葉田いづみ
グラフィック・デザイナー。主に書籍のデザインを手がける。静岡県出身。2009年より国立に暮らす。




憩いのひととき
●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー

 

「DON’T READ THIS TEXT(広告的文章)」
文責:三品輝起

こんにちは、みなさまお元気でしょうか。ぼくはすっかり夏バテでお腹をくだしながらも、案の定、いろいろ取材してきてはパチパチとキーを叩いて記事に変換しています。ヒカリエ、蔦屋書店、ソラマチ、おもはらの森、代々木ビレッジ、タニタ食堂、ダイバーシティ……まだまだあったはず。
のまどわーかーのためのくりえいてぃぶすぺーすをしぇあしてみませんか? とか、ろはすでさすてぃなぶるなおとなのあそびばがつくりたかったんだよねえ、とか、ほんやのさいしんけいおとなぶんかのさいごのがじょう(本屋の最新形・大人文化の最後の牙城……書いててはずかしい)とか、いろんな言葉がぼくの夏を通り過ぎていって、すばらしいんだけど、どれもこれも「出会った瞬間から別れの予感」みたいな趣がある。
でもしかたない。ぼくのように仕事で「東京らしい消費文化」に焦点を当ててずーと観察してると、世の中はあの手この手で新しい価値を生みだそうと躍起だ。「新しくあれ」という号令からは逃れられない。重要なポイントだから忘れないでほしいのは、そこでは「古くてもいいじゃない」「ほどほどでいいじゃない」「普通でいいじゃない」という価値も、立派な新しい価値なのだ。それがいやなら黙して山寺にでも籠るしかない。気が遠くなるくらい根は深い。

 

去年、立派なグローバル企業の代名詞、パダゴニアの「DON’T BUY THIS JACKET」っていう広告が、クリスマス商戦まっさかりのニューヨークに登場した。たぶん要約すると「みんな偽善というかもしれないけど、クリスマスに浮かれてないで地球のために慎重に物を選び、消費をおさえよう」てな内容だ。日本でも「これ広告なの?何なの?」と話題になった。ふーんと思ったぼくも広告についてちびちび考えてきた。
名著、北田暁大『広告都市・東京(その誕生と死)』の復刊と、いまの東京の開発をからめた記事を書いたりもした。本書は、つぶやきも顔本もアマゾンのデータベース広告も全面化されてなかった10年以上前に執筆されたものだけど、消費社会の伴走者である広告というものの本質にせまっている。以下、要約をぼくの書いた記事から引用(長くてすいません)。
「『差異を作りだすためには、手段を選ばない』広告は、あらゆるメディアに寄生することで存在する。資本主義が成熟し、空間的な差異や、技術的な差異がかつてほど利益を生みださなくなってくると、広告はイメージの差異を作りだす。そして、つねにその社会における『脱文脈的』なふるまいをすることで目を引き、消費を高めていく。そうやって増殖したイメージによる記号が、充満し、資本主義を駆動していく社会を、社会学では『消費社会』と呼んでいる。(……)広告はあらゆるメディアに寄生し、姿を変えていくなかで、自身の『いかがわしさ』を認識し、ついには隠しはじめる。人々が、広告であることを忘れるほど巧妙に。それが実現されたのが、80年代のセゾングループによる渋谷の開発だった。つまり広告は都市をまるごとメディアに選び、寄生したのだ。氏は90年ごろまでの渋谷を『広告都市』と名づけ分析する。そして我々は、その『広告都市』が死んだ『ポスト80年代』に生きている」(某誌・2012年3月19日掲載)

……以上(長くてすいません)。よくよく申し上げておきたいのは、この議論において、広告の中身が善意であるとか悪意であるとかは関係ないということだ(ちがう次元ではとても重要だけど)。もっといえば広告と商業は本質的にはイコールですらなく、広告はイメージの差異と、人々の目をひく「脱文脈的」なふるまいにだけに忠誠を誓っているということである。

 

広告が都市に憑依して、いつしか廃れ、姿をくらましてから世界は20年たってる。東京でいえば、バブル後の再開発ラッシュにでてきた、セゾングループの哲学を引き継ぎアートやデザインといったものをうまく担保にしたヒルズ、ミッドタウン、丸ビルといった文化系商業施設。もう一方に、ショッピングモールに江戸だの昭和30年代だの自閉したコンセプトをくっつけた劇場型商業施設、という流れがあった。でも、いまやすっかり文脈的だ。「脱文脈的」な広告はつねに進化しつづけてるんだとすれば、どこにいっちゃったんだろう?
北田氏は増補された文章のなかで、ポスト80年代の広告として、目に見えないフェロモンのように拡散していくイメージを提出している(話は戻るが「このジャケットを買わないでください」というパタゴニアの気高い広告は、「目に見える」点では実にオールドスクールなものだが、広告に反する広告、いまであれば消費を抑制する投資というものが、もっとも広告の脱文脈的なふるまいであることも見逃せない)。

 

ここから先は勝手な憶測にすぎないけど、広告がフェロモンとか匂いみたいに広がってるとすれば、目の前にあるもの、目には見えないもの、美しいと思う感性や、正しいと信じてる思想、未来の夢や、過去の記憶、自分自身のものだと疑わない身体やふるまいに至る、あらゆるものをメディアに見立てたとしてもおかしくない。『インセプション』みたいだけど。
じゃあSNSはどうだろう。「拡散希望!」や「いいね!」といった楽しいシステムが、セルフプロデュースなのかマーケティングなのか虚空に向けらたものなのか本人にも判別できない新たな言葉を用意して、徐々に人々の自意識の形や思考やふるまいを変えているかもしれない。それは未来から見れば「広告的人間」のスタートラインを意味してる可能性だってある。しつこいようだけど広告が良い悪いの話じゃない。ともあれそれらを明らかにするのは、ずっと後の世代の仕事になる。
きっと80年代に渋谷を闊歩したかつての若者と同じように、いまを謳歌するべきなのだろう。それでも。すべての人やモノの間でイメージの差異化が自動発生する条件から、どうやっても逃れられないんだろうか。ぼくは本書から一握りの希望を受けとった気がしたけど、のまどわーかーのためのくりえいてぃぶすぺーすをしぇあしませんか、って何の話だったっけ、とか騒いで日々過ごしてるうちに忘れてしまった。この文章は、だれの文章なのか。

 

三品輝起

79年生まれ、愛媛県出身。西荻窪にて器や雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライターもしている。音楽活動ではアルバム『LONG DAY』(Loule)を発表。ただいま冬のリリースに向け、アルバム製作中。




憩いのひととき
●乙女歌謡

こんにちは。甲斐みのりです。333pressの乙女歌謡コーナーでは、日本語の歌に限らず、私が10代の頃に夢中になっていた歌をご紹介いたします。

普段は愛らしいボーカル、メロディー、歌詞の歌をご紹介することが多い中、今回は少し趣が異なります。はじめてこの歌を耳にしたのは、10代もあと少しで終わりを迎える頃だったでしょうか。中古レコード屋で流れてきた、演奏や女性の歌声に大きく心を揺り動かされ、めったに話しかけることのない店員さんに曲目を尋ねたほど。けれども結局、レコードが思いのほか高価で、メモだけを持って帰りました。それからその歌と再会し、CDが自分の元にやってきたのは数年が過ぎたあと。今はインターネットやYou tubeでほしいCDや聴いてみたい音楽をすぐに検索も購入もできるけれど、当時はまだ、好きな音楽はレコード屋に通い必死に掘り出していた時代でした。

 

その歌というのが、74年に発表された、アルバム『SLAPP HAPPY』に収録されているSlapp Happyの「Casablanca Moon」。Slapp Happyは、イギリス人のアンソニー・ムーア、アメリカ人のピーター・ブレグバド、ドイツ人のダグマー・クラウゼと、国籍の異なる3人編成のアヴァン・ポップ・グループ。タンゴのリズム、切なげなピアノとバイオリン。ダグマー・クラウゼの可憐で意思の通った歌声。深い夜の森に差し込む光のような情緒と妖艶さに引き込まれ、夜がくるたび繰り返し聴いていました。昔は今よりも音楽に夢中で、「これは夜に似合う音楽」と音楽ごと聴く時間を変えていたりしたのですが、「Casablanca Moon」はタイトルからというだけでなく、人の闇の部分を美しく映し出しているような気がして、“夜の音楽”に選り分けていたのです。この「Casablanca Moon」が発表される前年に発表されるはずで、しかし前衛的という理由で発売中止になったアルバム『Acnalbasac Noom』にも、「Casablanca Moon」の別バーションが収録されています。

 

まだ京都に住んでいた2000年、京大の西部講堂でSlapp Happyのライブを聴くことができたのですが、ダグマー・クラウゼが歌う「Casablanca Moon」をすぐそばで感じたとき、嬉しいような切ないような言葉にできない感慨を覚え、涙がこぼれてきました。 今でも月が綺麗な夜には、Slapp Happyが聴きたくなります。

 

 

甲斐みのり

文筆家。1976年静岡生まれ。旅・お菓子・各地の食材・クラシックホテルや文化財の温泉宿などを主な題材に、女性が憧れ好むものについて書き綴る。http://www.loule.net/

 




憩いのひととき
●おやこでおでかけ

【夏のお守り】

わんぱくな子どもたちはどこにいてもよく走り、よく転ぶもの。ちょっとした傷は日常茶飯事ですが、暑い季節は生足を出していることが多いので、膝の擦り傷なんかが特に増えますよね。さらにその子どものおいしそうな足を狙ってすかさずやってくるのが憎き蚊たち。本当に憎い!

夏のお守りとして、私はチューブ型の消毒薬(マキロンS軟膏)とミニ虫刺され薬(ポケムヒ)、スリムボトルに入れた虫除けスプレーを持ち歩いています。些細なかすり傷で大げさに泣いた時にも、軟膏をぱっと塗って絆創膏をばしっと貼ればプラシーボ効果もあったりして…。アイテム自体は普通の常備薬ですが、小さなポーチにも収まるサイズがちょうどよく、邪魔にならないのが気に入っています。

 

 

岩崎一絵
当ウェブマガジン編集担当。北海道出身。3歳児の育児奮闘中。




ライブレポート
●tico moon

6月下旬から7月初頭にかけて、北海道~青森に伺ってきました。北海道へは初めてのフェリー移動。懸念していた揺れも無く、思いの外快適な船旅でした。苫小牧へ到着してすぐに札幌へ移動、6月24日(日)の夜は久し振りに札幌チョロンさんでのライブでした。相変わらずの素敵なスペースでの演奏、とても気持ち良かったです。

翌月曜は朝早く旭川へ移動、近文第二小学校でお昼に演奏会。演奏前には生徒さん達と一緒に北海道の食材を使った給食をいただきました。久し振りの小学校給食、とても美味しかったです!

翌火曜の夜は旭川在住の陶芸家工藤和彦さん主催のアートスペース、スタジオバンナでライブ。古い温泉旅館を改装したスペースは懐かしさで一杯、もともとあった卓球台で、空き時間は卓球三昧でした。週末まで北海道の味を堪能した後、6月30日(土)はいよいよニセコで森のカフェフェス。初めてのニセコは最高のロケーションで、お天気にも恵まれ、気持ち良い一日を過ごしました。昨年のカフェフェス以来のアンサリーさんとの共演も楽しかったです!

翌日は青函フェリーに乗って青森に移動。翌月曜は青森市内での初ライブ。会場のコノハトカフェ&レコーズさんは台湾茶の専門店でもあります。美味しいお茶をいただきました。今回の旅でもここに書ききれない程のたくさんの素敵な出会いに恵まれました。

そして7月15(日)には下北沢のleteさんで恒例の結成記念日ライブ、翌週7月22日(日)には昨年クリスマス以来の神戸みみみ堂さんでライブ。どちらのライブもたくさんのお客様に聴いていただけて、楽しいライブになりました。今年の前半もお陰様で色々な場所で演奏を聴いていただく事ができました。お会いした全ての皆様に心からの感謝を込めて、本当にありがとうございました!

(影山敏彦/tico moon)